ニキビで悩んでいる方は多いのではないでしょうか?
抗生物質はニキビに対して効果が期待できます。しかし、抗生物質は使い方にポイントや注意点があります。それを十分に知ったうえで、使うことが大切です。
そこでこの記事では、ニキビの原因、ニキビに対しての抗生物質をどう使うのか、ニキビに対しての抗生物質を手にする方法まで、一緒に見ていきましょう。これを読んでぜひ、ニキビにさようならしましょう!
ぜひ最後まで読んでください。
抗生物質はニキビに対して効果は期待できる
「尋常性痤瘡(ニキビ)治療ガイドライン 2017」では、外用薬、内服薬ともに炎症性皮疹のニキビに抗生物質は「強く推奨」されています。
ただし、抗生物質の適応となるのは「炎症性皮疹」と呼ばれる「炎症を起こしているニキビ」だけです。ニキビの炎症にはアクネ菌 (Propionibacterium acnes、プロピオニバクテリウム・アクネス)という細菌が関与しています。抗生物質はこのアクネ菌に作用し、炎症改善に働きかけてくれます。
一般の感染症における抗生物質の選択では、「効くか効かないか」の感受性が重視されますが、ニキビでは感受性のほかに抗炎症効果も期待して抗生物質が処方されることが多いです。これはアクネ菌は常在菌であり、他因子による慢性炎症性疾患であるためです。つまり、抗生物質が作用しない原因によってニキビができているということになります。そのため抗生物質にニキビを治す効果があるわけではなく、炎症を起こしていないニキビに抗生物質を処方しても意味はまったくありません。そのときの炎症を抑えるだけで、ニキビを治し、健康な肌にするという根本治療ではないということです。
まずはニキビの原因から
ニキビの原因は何かご存じですか?ここでは、ニキビの原因を、ニキビの仕組みと経過、ニキビの発生に関連している因子から見ていきます。
ニキビの仕組みと経過
ニキビの初期は面皰(めんぽう)と呼ばれます。面皰には毛穴の開口部が閉じて白い膨らみに見える白ニキビと、開口部が開いて先端が黒く見える黒ニキビがあります。黒ニキビの黒色は角栓の表皮細胞にあるメラニンの色です。
思春期から30代まで、男女問わず、皮脂分泌が過剰になり角質層が厚くなると、毛穴が詰まって皮脂が毛包内に溜まり面皰を生じます。この面皰が基となり、毛包内で常在菌のアクネ菌が増殖して炎症を起こした結果起きるのが、赤ニキビ(丘疹)や膿を持ったニキビ(膿疱)などの炎症性皮疹です。この周りには多数の面皰があります。
炎症が治まると赤みや色素沈着のあるニキビ跡を経て治る場合と、凸凹ニキビ跡や、しこり・ケロイドなどを残す場合があります。なお、面皰の前段階は「微小面皰(びしょうめんぽう)」と呼ばれ、皮疹として認識できないほど小さく、毛包内に皮脂が溜っている状態です。
ニキビの発生に関連している要因
ニキビの発生には、皮脂の分泌、毛穴、アクネ菌が関係していますが、これらに関連している要因として、下記のものが挙げられます。
- ホルモン
- ストレス
- 乾燥
- 遺伝
- 睡眠不足
以下で、1つずつ詳しく見ていきましょう。
ホルモン
男性ホルモンには皮脂分泌促進、女性ホルモンには皮脂分泌抑制と肌が元来持っているバリア機能を強くする働きがあります。これらのホルモンバランスが取れていれば、多少の刺激を受けても肌トラブルは発生しません。しかし、バランスが崩れ、男性ホルモンが多くなると、ニキビは発生します。
ストレス
日常的にストレスを感じていると皮脂分泌が増えると言われています。皮脂分泌が過剰だと皮脂が毛包内に溜まりやすく、ニキビの元である面皰ができやすくなってしまい、その結果ニキビも多くなります。
乾燥
肌が乾燥するとバリア機能が破綻して、角質層が厚くなり毛穴詰まりを起こしやすくなります。また、肌のバリア機能が弱ると肌表面に皮脂膜を張ろうとして皮脂分泌量が増加してしまい、ニキビが発生しやすくなります。
遺伝
ニキビは遺伝しませんが、ニキビになりやすい肌質は遺伝する可能性があります。しかし、きちんとケアすれば予防は可能です。
睡眠不足
睡眠不足が原因で、肌の再生が起こりにくくなること、そして睡眠不足がストレスとなりニキビが発生しやすくなります。ニキビ予防のため、ニキビ改善のために、睡眠不足にならないようにしましょう。
ニキビに対しての抗生物質はどう使うの?
ニキビの中で抗生物質が適応となるのは炎症の強い場合のみです。
抗生物質はニキビの原因であるアクネ菌に対して作用します。抗生物質を長期間使うのは耐性菌の出現などのリスクがあるので好ましくなく、急性炎症期に早期の症状改善を目的に使用されます。
抗生物質はニキビの炎症を鎮静化させますが、ニキビ予防の効果はありません。加えて、炎症を起こしていないニキビを治す効果もないので使い方には注意が必要です。
ここで紹介するのは、ニキビ治療での抗生物質の使い方2つです。
- 抗生物質はどんなものがあるのか
- 抗生物質の注意点
以下で、1つずつ詳しく説明します。
抗生物質はどんなものがあるのか
ニキビ治療に使われる抗生物質には外用薬の塗り薬と内服薬があり、通常、軽症から中等症であれば外用薬、中等症以上であれば内服薬を用います。
ここでは、外用薬と内服薬に分けて説明します。
外用薬
日本で保険適用になっている、ニキビの外用抗生物質は以下の通りです。
【日本で保険適用のニキビ外用抗生物質】
推奨度 | 商品名 | 成分名 | 特徴 |
推奨度A | ダラシンTゲル | クリンダマイシン | 1日2回、洗顔後塗布 |
推奨度A | ダラシンTローション | クリンダマイシン | 1日2回、洗顔後塗布 |
推奨度A | アクアチムクリーム | ナジフロキサシン | 1日2回、洗顔後塗布 |
推奨度A | アクアチムローション | ナジフロキサシン | 1日2回、洗顔後塗布 |
推奨度A | ゼビアックスローション | オゼノキサシン | 1日1回、ゲル状でさっぱりしている |
推奨度の分類 A:行うよう強く推奨する A*: 行うよう推奨する(有効性はAと同等だが、副作用があって推奨度が劣る)B:行うよう推奨する C1: 選択肢の一つとして推奨する C2 :十分な根拠がないので推奨しない D :行わないよう推奨する
外用抗生物質は内服薬に比べ副作用は少なめですが、、必ず医師の指導に従って使用してください。
ニキビでは面皰形成性(初期のニキビができるかどうか)を意識した基剤を用いる必要があり、臨床試験が行われている製剤を用いる必要があります。皮膚科ではない医師からゲンタシン、フラジオマイシンなどが処方されることもありますが、ニキビに保険適応がなく、有用性の検討も十分に行われていません。
内服薬
中等度以上の以上の炎症の強い、赤ニキビや膿を持った黄ニキビが発生している時には、抗生物質の飲み薬が処方されることがあります。
日本で保険適用になっている、ニキビの内服抗生物質は以下の通りです。
【日本で保険適用のニキビ内服抗生物質】
推奨度 | 商品名 | 成分名 | 特徴 |
推奨度A | ビブラマイシン | ドキシサイクリン塩酸塩水和物 | |
推奨度A* | ミノマイシン | ミノサイクリン塩酸塩 | めまい・色素沈着の頻度高い、LE様症状・間質性肺炎の副作用報告あり |
推奨度B | ルリッド | ロキシスロマイシン | |
推奨度B | ファロム | ファロペネムナトリウム水和物 | ペネム系合成薬剤 |
推奨度C1 | アクロマイシン | テトラサイクリン | |
推奨度C1 | エリスロマイシン | エリスロマイシン | |
推奨度C1 | クラビット | レボフロキサシン | |
推奨度C1 | クラリス | クラリスロマイシン | |
推奨度C1 | オラセフ | セフロキシム アキセチル |
推奨度の分類 A:行うよう強く推奨する A*: 行うよう推奨する(有効性はAと同等だが、副作用があって推奨度が劣る)B:行うよう推奨する C1: 選択肢の一つとして推奨する C2 :十分な根拠がないので推奨しない D :行わないよう推奨する
ニキビの炎症には、アクネ菌に対する感受性(薬の効果)に加えて、抗炎症効果を期待して、テトラサイクリン系(ドキシサイクリン、ミノサイクリン、テトラサイクリン)やマクロライド系(クラリスロマイシン、エリスロマイシン、ロキシスロマイシン)が用いられることが多いです。ファロペネムナトリウム水和物に対しても改善効果の報告があります。
抗生物質の注意点
急性炎症期には強い味方の抗生物質ですが、使用する際には注意が必要です。ここでは、抗生物質を使用する際の注意のポイントを2つ紹介します。
- 耐性菌
- 飲み合わせ
以下で、1つずつ見ていきましょう。
抗生物質注意のポイント1 耐性菌に注意
注意のポイントの1つ目は薬剤耐性菌です。抗生物質を正しく使用しない場合に起こるリスクは、その抗生物質が効かない耐性菌の発生です。耐性菌は細菌が増殖中に突然変異することで発生します。「症状が治まった」と自己判断で使用をやめると、まだ完全には治まっていない細菌の増殖が起こり、耐性菌が生まれてしまう可能性があります。
耐性菌を防ぐためにも、抗生物質は処方してくれた医師の指示通りにきちんと使用しましょう。
ニキビ治療では急性炎症期の炎症性皮疹が主体の時期に、治療開始から約3か月を目安に行います。抗生物質は本来、長期使用に向かない薬です。他の感染症より長期間の使用になる可能性があるので、さらに注意して使用しましょう。
日本のニキビ患者における薬剤耐性アクネ菌は増加しており、特に長期間の使用が大きく関係していると報告されています。
抗生物質注意のポイント2 飲み合わせ
注意のポイントの2つ目は他の薬と抗生物質の飲み合わせです。他の疾患で通院服薬中の方が、内服薬の抗生物質を使用する場合は薬の飲み合わせに注意しましょう。併用する薬によって、通常より効果が強く出たり、反対に弱く出たりすることがあります。
ニキビの診察の際には、飲んでいるお薬もしくはお薬手帳を持参して、医師に必ず他院へ通院及び服薬中であることを伝えましょう。その他、薬に関する心配なことや不安なことは、医師、薬剤師に相談し、納得のいくまで説明してもらってください。
また薬ではありませんが、テトラサイクリン系抗生物質(ドキシサイクリン、ミノサイクリン、テトラサイクリン)は、ミネラルを多く含む飲食物と一緒に服用すると、キレートという複合体を形成して腸での吸収が悪くなります。
ミネラルを多く含む飲食物としては、牛乳やヨーグルト、ミネラルウォーター、Ca、Mg、Al、Feを含むサプリメントなどがあります。胃内で抗生物質と一緒にならなければ良いので、摂りたい場合は2時間以上間を空けて摂りましょう。
ニキビに対しての抗生物質を手に入れるには?
抗生物質は処方箋医薬品なので、市販されてはおらず、必ず医師の診断を受け、処方してもらう必要があります。ここではニキビに対しての抗生物質を手に入れる方法を2つ紹介します。
- 抗生物質は医師の診断・処方の元で使う
- オンライン美容診療はおすすめ
以下で、1つずつ見ていきましょう。
抗生物質は医師の診断・処方の元で使う
皮膚科のある病院やクリニックで医師にニキビの診察をしてもらうと、必要に応じて抗生物質が処方され、入手できます。保険診療なので原則3割負担です。
医師に身体を診察してもらって、また、他院へ通院中の場合は服用中の薬との飲み合わせについても考えた上で薬が処方されるので安心です。万が一、副作用が出てもすぐに対処してもらえます。
オンライン美容診療はおすすめ
しかし、仕事などが忙しくなかなか病院やクリニックへ行けない人もいるかもしれません。そのような方にはオンライン美容診療がおすすめです。
オンライン美容診療とは携帯電話やパソコンなどを使ってインターネット上で診察する診療のことです。自宅にいながら診察が可能で、遠い地域の専門医からの診察を受けられます。また、交通費がかからず、待ち時間なしで診察できます。美容診療に少しハードルが高かった方にもおすすめです。
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よくある質問
抗生物質はニキビに効くの?
ニキビ事態にではなく、炎症に作用します。
抗生物質はどこで手に入るの?
病院やクリニックで医師にニキビの診察をしてもらうと、必要に応じて抗生物質が処方され、入手できます。
抗生物質にはどんなのがあるの?
主に外用薬と内服薬があります。
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